2014年の4月、私はカレッジながさきの職員として働き始めた。支援教員としてスタートした場所はカレッジ福岡。そこで半年間の研修を経て、11月にカレッジながさきでの勤務がスタートした。
私はカレッジながさきの学生の入学当初の様子を何も知らない。入学当時に作成された書類や様子を知る支援教員から話を聞いて状況を想像することしかできなかった。そういった面で悔しさを感じていたある日、「次それ借りてもよろしいでしょうか?」「僕がここの掃除をするので君はそっちをお願いします」と仲間に話しかける彼の行動が目にとまった。
私から見るA君は他人に話しかける時の表情は無表情、不器用な言葉で相手に話しかける。しかしそれが彼の精一杯で、そして何より私はそれが彼の“普通”だと思っていた。
ある日、A君がいつも使用しているパソコンの席に見学者が座っており、A君は“どいてほしいな”というような表情で見学者を見ていた。「ちょっとどけてくれないかな~?」と見学者に声をかけた。話しかけた時、A君は苦笑いだった。私は“どけてほしい”という気持ちから苦笑いになったのか。と思ったが、A君の様子を見てある変化に気がついた。
【彼は笑おうとしている】
他人に話しかける時、無表情が多い彼が苦笑いをした。固い表情が緩んだ。それは「無表情→苦笑→笑顔」という階段をずっと登ろうとしていたのだ。その階段を一段登った瞬間だった。その時同じ空間に居た自分が嬉しくなった。頑張ろうとしている姿に心を打たれた。
「カレッジに通い始めてからの彼らの成長」を入学当初の様子を知らない私には目にすることは難しいかもしれない。しかし、「私が知っている彼らのこれからの成長」を感じることはできる。その可能性を教えてくれた彼に感謝し、私はこれからも学生と共に成長の階段をゆっくり一段ずつ登っていきたい。
カレッジながさき 支援教員 富澤
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