こころのオルゴール

一昨日11月10日(木)午後10時55分より、FM福岡の番組『こころのオルゴール』でカレッジ福岡が紹介されました。

こちらをお聴きください。
こころのオルゴール

番組ナレーションはこちらです。↓

皆さん、いかがお過ごしですか。福岡市人権啓発センターがお送りする「こころのオルゴール」の時間です。今日は、私、永淵幸利がお届けします。

学ぶこと、それは全ての人に与えられた権利です。しかし、知的障がいのある若者たちにとって、特別支援学校高等部卒業後の進路は、社会に出て就職するか地域の作業所で働くのが一般的で、「進学」という選択肢はありませんでした。「この子にもっといろいろな経験をさせたい。仲間と学び、青春を謳歌してほしい」。社会福祉法人鞍手ゆたか福祉会の長谷川正人理事長は、次女が特別支援学校高等部の卒業を迎えるにあたって「学びの場」の必要性を強く感じました。そして、2012年、福岡市東区に知的障がい者のための福祉型大学「カレッジ福岡」が誕生しました。

「カレッジ福岡」は、大学と同様、四年制で綿密なカリキュラムが組まれています。生活、ヘルスケア、経済、文化・芸術、労働、自主ゼミなど「教養課程」で社会性を身に付けて「専門課程」に進み、調理や清掃、介護、パソコン、店舗関連などの実務で就職のスキルを高めていきます。そして、インターンシップで自信を付けて社会へ巣立っていくのです。

2016年春、第一期生3人が卒業しました。入学当初、何をするにも自分で決められなかった知沙さんは、下級生を迎えたことで先輩としての自覚が芽生えグングン成長。今は病院の看護助手として働いています。自分の夢を持てなかった晴雄さんは、物流実務で「梱包」の楽しさに目覚め、商社の倉庫部門に就職。車が大好きな翔太郎さんは、難関を突破して大手のカーディーラーに採用されました。

「青春を謳歌すること。社会人としてのスキルを身に付けること。そして逆境を乗り越える力、くじけない心を養うこと」。カレッジの柱はこの三つ。「仲間たちと学び、悩む中で『自尊感情』を育み、社会に出て行く『自信』を培う」という目標の成果は、一期生たちが見事に証明してくれたようです。


アメリカやカナダでは、知的障がい者に大学の門戸が開かれています。日本でも2016年4月、障害者差別解消法が施行されました。「学びたいのに学べる場がない」のは、この法律が禁止する「合理的配慮に欠けた状況」にほかなりません。知的障がい者の「学びの場」が全国に広がっていくよう見守っていきたいものです。