NHK長崎の記者の山田さんから、「カレッジながさき」の特集番組のDVDを送っていただきました。DVDから語りを再現し、内容をご紹介いたします。





 タイトル『知的障害者の離職防ぐには』



タイトル【ナレーション】近年知的しょうがい者が一般企業に就職するケースが増えていますが、高校卒業後、すぐに就職した知的しょうがい者は仕事をやめてしまう割合が高いのが現状です。



自分の意見をうまく伝えられないなど、対人関係のトラブルで仕事をやめる人が多い知的しょうがい者の就職を支援するための学校が大村市に開校しました。







授業教員A「チューリップすごいいっぱいあるね。何て返そうか?」

学生A「めちゃくちゃすごいじゃん」











【ナレーション】コミュニケーションについての授業を受ける学生たち。高校を卒業したばかりの知的しょうがいなどがある若者です。近年、しょうがい者の社会進出が進んでいますが、就職しても自分の考えがうまく伝えられなかったり人の気持ちをくみ取るのが難しかったりして、トラブルを起こして辞める知的しょうがい者が少なくありません。今月、大村市に開校した「カレッジながさき」は、こうした知的しょうがい者の就職を支援するのが目的です。



福岡市に住む小島さん、21歳です。軽度の知的しょうがいがあります。高校卒業後、すぐに就職しましたが、2年で仕事を辞めました。善悪を判断する力が身についていなかったため、雇い主とトラブルになったのが原因でした。



小島さん「ちょっとまだそんときは、社会人の知識がなかったけ、人と話すのが苦手なんで、それがちょっと苦労しました。自分の未来に向かって頑張りたいと思います。」



【ナレーション】小島さんのようなケースはめずらしくありません。特別支援学校を卒業した人のうち3年以内に仕事を辞めてしまう人は、およそ4割にのぼります。「カレッジながさき」を運営する長谷川正人さんです。知的しょうがいがある若者の離職率が高いのは、高校までに人とのコミュニケーションや基本的なマナーを身につけていないためだと言います。



長谷川長谷川「他人に対してこういう失礼なことを言っちゃいけないこととか、そういったものを平気で、相手の気持ちをくみ取らずに言っちゃったりとかして、どうしても孤立しちゃったりとか、そうやっていろんな人間関係とか、そういった部分でうまくいかないで離職するケースって結構ありますので、そこをやっぱりひとつひとつ丁寧に教えることってすごく大事なんじゃないのかなと思います。」



【ナレーション】今回この学校に入学したのは5人。その一人。渋江さんです。一度は就職を考えましたが、この学校に入学を決めました。



渋江さん「友だちと協力して頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。」



【ナレーション】母親の悦子さんです。悦子さんは娘の彩さんに「カレッジながさき」への入学を強く勧めました。知的しょうがいに加えて心臓疾患がある彩さんが、すぐに社会に出ることに不安があったといいます。



お母さん「いくつか作業所みたいな就労移行支援の事業所を何か所か見に行っても、ぐっとくるものがなかったていうか、できるかなって。初対面の人には恥ずかしがり屋なので、そういうところも学ばさせていただければなと思っているんですけども。」



【ナレーション】授業では学生たちが実際に直面しそうな日常の場面を設定してコミュニケーションのとり方を学びます。



教員B「写真を一枚撮ってもらいたいんですけど、お願いできますか?」

学生B「はい、いいですよ。」

これは街で見知らぬ人から話しかけられたときの会話の訓練です。

教員A「快く写真を撮ってくれたので、すごくいいと思います。」



学生C「もしもし、財布がありません。探してください。」

今度は、観光地で財布をなくしてしまったという想定です。

学生C「何て言えばいいんですか?わかんないや俺。」



教員A「あした楽しみだねって言われたら何て返しますか?」

学生B「そうですね。」

渋江さん「楽しみですね。」





【ナレーション】人と話をするとき注意すべき点はどこか、声の大きさや表情など、基礎から学びます。



渋江さん「結構、難しかった。いろいろと学んでいきたいなと思いました。」



長谷川「多様な経験をホントに18から20代前半に経験することによってですね、その後の人生が非常に豊かになると思うんですけど、なかなか今の高等部を卒業してそれからすぐに就職するとそういった経験なかなかできないと。自信を持てたりとか、そういったことにつながる体験をたくさんしてもらいたい。」



【ナレーション】社会に出て働きたいと願うしょうがい者のための学校。今後、雇用の定着につながるか注目されます。







対談司会者「ここからは取材にあたった山田記者とともにお伝えします。山田さん、知的しょうがい者のための学校、こうした取り組みというのは全国的に拡がっているんでしょうか。」

山田さん「はい。こうした学校は、障害者自立支援法の成立の後、増えましたが、それでも高校を卒業した知的しょうがいの人が通える学校っていうのは、「カレッジながさき」を含めて全国に10ヶ所ほどしかないんですね。」



司会者「今回映像の中ではですね、コミュニケーションの授業が紹介されていましたけれども、その他にどんなことが学べるんでしょうか?」

山田さん「はい、この他にも、買い物の仕方や掃除の仕方、それに余暇の過ごし方など、日常の生活を送る上で最低限必要な知識を教える授業というのがたくさん用意されています。実はこのカレッジながさきは、4年制で、最初の2年間でこうした知識を身につけながら、どんな仕事に就きたいかというのをじっくり考えて、残りの2年間で必要な資格などを取るシステムになっています。」



司会者「そうしたことというのはですね、例えば、特別支援学校などでは身につかないものなんでしょうか。」

山田さん「はい。ご紹介したカレッジながさきの長谷川代表もおっしゃっていましたが、特別支援学校などというのは、仕事の技術を身につけることというのが中心で、もっと基礎的な、人との接し方のようなものを学ぶ機会というのはすごく少ないんですね。なので、このため最近では、特別支援学校の中に、『専攻科』という新たな学科を設置して、在学年数を2年延長できるという学校も増えてきています。20歳前後という社会に出る重要な時期に最低限必要な知識を教えてから子どもたちを送り出そうという動きが大きくなっているわけです。働く意欲を持って、仕事に就いた若者たちが、すぐに辞めなくてもすむようなこうした取り組みがもっと拡がればいいなと感じました。」





NHK長崎放送の山田さん、青年期知的・発達しょうがい者にとっての学ぶことの重要性や特別支援学校における専攻科設置の意義などについて、とってもわかりやすい貴重な映像を作成・放映していただき、本当にありがとうございました。